メディアで紹介されるようになってから爆発的に増えた「子ども食堂」。みなさんは子ども食堂の本当の意味を正しく理解していますか?
かくいう私も最初は子ども食堂のことを「よく見かける『メディアが流行らせたがっているお涙ちょうだいボランティア』だろう」とどこか懐疑的でした。
しかし実際に足を踏み込んでみると、その考えは一変しました。今回はそんな子ども食堂の正しい意味合いなどをお伝えします。
子ども食堂の定義!地域によってさまざまです
子ども食堂は「こどもが1人でも安心して来られる無料または低額の食堂」をかかげて2012年に八百屋の店主がオープンしました。
家庭の事情で食事を摂ることが難しい子どもや一人ぼっちで食事をする子どもたちに、安心、安全に食事と居場所を提供する「子ども食堂」。
今では各地域や団体によってその定義はさまざまです。こどもの孤食を少しでも防ぐためにこどもに食事をさせることをメインにする場所もあれば、もちろん子どもからお年寄りまで誰でも参加できるところもあります。
子ども食堂に実際にやってくる人たちの利用者数は?
2012年からはじまった子ども食堂ですが、実際に利用する人たちはどれくらいいるのでしょうか?
全国こども⾷堂⽀援センター・むすびえの調査によれば、子ども食堂は現在全国で3700箇所以上が確認されています。利用者数は年間参加延べ⼈数、推計 160 万⼈といわれています。昨年の2018年からくらべても増加傾向にあるのがわかりますね。
平均すると1箇所の子ども食堂には年間で430人ほどの人が利用していることになります。
12で割ると1ヶ月に35、6人です。思ったよりも少ないんだな…?そう思われた人も多いかもしれません。でもそれは仕方のないことなんです。
子ども食堂を運営するボランティアの殆どの人は通常は何かしらの仕事を持っています。
それを、複数の人数の予定を合わせて実行するとなると月に1回~4回がほとんどになってしまうからです。
(参照:NPO 法⼈全国こども⾷堂⽀援センター・むすびえhttps://musubie.org/project/research/)
子ども食堂のはじまりが素敵!創始者の思いとは
大田区で八百屋を営んでいる近藤博子(こんどうひろこ)さんは「子ども食堂」の名付け親です。つまり初めて子ども食堂を開いた方ですね。
彼女が子ども食堂を開いたきっかけは近所のたまたまお店に訪れた学校の先生の言葉でした。
なんと先生から「飽和と言われる現代の日本で給食以外のご飯がバナナ1本という子どもがいる」話を聞かされます。
この話があまりに切なく感じた近藤さんは「なんて切ないんだこの日本は」と思うと涙が出てきたと言います。
そして温かい食事を子どもたちが食べることができたら「明日学校に行こう!」という気になれる…と、自分のお店を改造して2012年8月に「子ども食堂」の第1号をオープンさせました。
(参照:女性自身2018年8月掲載https://jisin.jp/domestic/1623545/)
こども食堂の存在意義は「貧困家庭のため」じゃない
近藤さんは貧困家庭のために子ども食堂を始めたわけではありません。
こどもだけじゃなく、一人でゴハンを食べている高齢者や、赤ちゃん連れのお母さんなどいろいろな人の「安心できる居場所」を提供しているんです。
子ども食堂の名前が私たちの耳に入ってくるようになったのはごく最近のことです。
これまで私を含めた多くの人は、貧しい家庭の子どもや共働きの親の子どもが食事をしに来る場所だと思っていたとおもうんです。
でも近藤さんの思いはもっと深く日本からそんな切ない子どもたち、人間関係が少しでもなくなって明るくなれば良いという素敵な願いからでした。
子ども食堂に大人や高齢者など年齢制限はあるの?
子ども限定にしている食堂以外は年齢制限はありません。一人で食べる孤食を防ぐ目的として存在している子ども食堂では誰が食べに来てもかまいません。
親子で参加している人たちもいます。
「大人が私だけだったらどうしよう」と不安になる必要もありません。
子ども食堂にきた子どもたちのために一緒に遊んであげたり宿題を見てあげたりとボランティアさんとともに子どもとコミュニケーションを取るととても喜ばれます。
裕福・貧乏・生活保護などで誰も区切っていない
まだまだ子ども食堂への偏見もある中、参加できる人の対象がおうちの経済事情もかかわってくると思っている人たちがいます。
子ども食堂は裕福なおうちや経済的に豊かではないおうちの人で区切っていません。子ども食堂が必要な人は誰でも参加することができます。
まとめ
子ども食堂は今ではかなり普及してきましたが、近藤さんのように人のために誰もやらないことを始めることは本当に尊敬します。
現在では日本各地に広がり、ネーミングは子ども食堂を使用していても、定義はそれぞれです。
本当に貧困家庭や共働きのおうちの子供のための食堂もあると思います。それもまた、近藤さんの想いをつないだ子ども食堂のカタチなのです。
「子ども食堂」が完全な市民権を得て、日本から一人ぼっちのこどもがいなくなる日が来ることを願ってやみません。
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