子ども食堂のかかえる課題と広がるネットワークの裏にある問題点

子ども食堂

子ども食堂は日本全国に広まっていって現在は3700箇所以上になりました。

しかしその裏には無視できない課題や問題点も徐々に浮き彫りになってきています。

今回はそんな今抱えている子ども食堂の課題についてお伝えします。

子ども食堂の急激な増加による問題点

2012年に東京都の八百屋さんが立ち上げた子ども食堂は毎年のように増加しています。
これは現代社会で子ども食堂の必要性が認められ始めた証拠でもあります。

しかしその一方で、かけ足で増えてきた子ども食堂には問題点も山積みになっています。

農林水産省が発表している子ども食堂の課題

農林水産省による「こども食堂と地域が連携して進める食育活動事例集」の中で各団体がかかえている問題点などの現状についての事例を公表しています。

農林水産省が子ども食堂の運営者に取ったアンケート結果によると、主要課題は6つにまとめられています。

◆主要課題
① 来てほしい人や家庭の参加
② 資金の確保
③ スタッフの負担、スタッフの確保
④ 地域との連携
⑤ リスク管理
⑥ 会場の確保

これから子ども食堂を手伝ったり、立ち上げたいと思っている人はいろいろな疑問もあると思いますがまずは現状を知ってもらい、問題点の解決事例などもチェックしていくと参考になるかと思います。

http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/14renkei.pdf

課題①子ども食堂に来てほしい家庭の子供や親の参加が難しい

1つ目の課題は意識しているターゲット層が思うように参加しないということです。
子ども食堂の運営者に活動目的として「生活困窮家庭の子供の居場所作り」を意識していると回答した人は約90%いました。

それにもかかわらずアンケート調査では来て欲しい家庭の人たちに来てもらうことが難しいと感じている運営者は40%以上もいたんです。

これは、貧困家庭などの子どもにも自然と参加できるように参加対象者を限定せず環境を整えているからなんだそうです。

たしかに「子ども食堂は貧乏なおうちの子がいく場所だ」と周りの子どもたちに誤認識されてしまったら食堂を本当に必要としている子どもたちの足はますます遠のいてしまうでしょう。

それに加えて、食堂を必要とする人たちに情報があまり届いていないというのも現実です。

しかも年中無休のサービス店などとは違い、月に1回や不定期開催も少なくない中で子どもが一人で情報を得ることは難しいかもしれません。

課題②子ども食堂の運営資金の確保が難しい

2つ目の課題は資金の確保が困難だということです。アンケート調査によれば、運営費の確保が難しいと感じている運営者は約30%でした。

ほとんどの団体では運営費は自己負担が大きいです。ボランティア団体の多くは資金難が悩みのタネだと思います。対して、食材を安定して確保できないと答えた人は10%程度です。思ったよりも少ないなと感じました。

しかし現在はフードバンクや食品メーカーなどの団体も食材を提供してくれるケースが増えてきたのでこのような結果になったと思われます。

食材確保をどうしてる?実際の口コミ

食材確保の実例としてはこちらがあります。

◆地域の食材の会社から肉や冷凍食品の支援をいただけたり県庁、市役所でフードドライブを開催したり様々な方から支援をいただけるようになった。(信州子ども食堂)

◆新聞コラム、ブログなどで活動を知った方からの食材の寄付をいただく、(米・野菜:農家、魚:漁師、魚屋、肉:肉屋……など)(はこだてこども食堂)

参考:こども食堂サミットhttp://kodomoshokudou-network.com/pdf/pamphlet_2017.pdf

課題③子ども食堂で働くスタッフの負担が大きく確保が難しい

3つ目の課題はスタッフ一人の負担が大きいことと人員確保が難しいことです。

こども食堂はビジネスではないので基本はボランティアの方々で運営されています。
普段働いている社会人などは興味はあるけれど実際参加することは難しいというのが現状なのでスタッフ募集をしているところはとても多いです。

スタッフ募集の協力には個人や大学生の割合が大きいです。それでもなかなか集まらない地域もあり、スタッフの少ない場所ではそれだけ一人ひとりの役割が大きくなってしまいます。

課題④子ども食堂の地域との連携や協力をえることが難しい

4つ目の課題は地域の連携の難しさです。アンケート調査によれば住民との協力が得られない難しさよりも、学校や教育委員会、行政との連携のほうが大変なようです。

地域住民の協力はその人の気持ちで動けるので協力を得ることができますよね。しかし、教育委員会や行政などでは規約などがないとなかなか動いてくれないことがあるようです。

こども食堂の立ち上げにも相談したら「貧困家庭はこの地域にない」といわれたケースもあり現状をちゃんと直視していない行政の怠慢もうかがえます。

課題⑤子ども食堂の保健所や衛生管理などリスク管理が難しい

5つ目の課題はリスク管理の難しさをあげています。
こども食堂運営者へのアンケートでは保健所や衛生管理面の連携状況を調査しました。
他団体との協力を得ているところは10%未満でした。

連携しているなかで自治体や社会福祉協議会の協力を得ている運営者は衛生管理面での研修受講費用の補助や助言などを受けていました。

小さな子どもが多く出入りする子ども食堂では、安全、安心を与えるために特に衛生環境にも力を入れる必要があります。

人が出入りする食堂なので安全と清潔さを保たなければ食中毒やその他の病気などにかかる可能性もあります。

そのようなトラブルが起きないためにも衛生管理の知識を持った人を確保することや、保健所へ営業許可を得たりときちんと取り組む必要があります。

課題⑥子ども食堂を運営するための会場の確保が難しい

6つ目の課題は子ども食堂を運営する会場の確保です。
会場は主に公共施設や宗教法人、飲食店、高齢者福祉施設で開催されています。

子ども食堂は会場が借りられればどこでも立ち上げられるわけではないのです。学校や家からあまりにも離れているのは治安的にも問題がありますし会場の広さもちゃんと確保されていなければトラブルのもとになります。

子ども食堂の課題まとめ

子どもたちのため立ち上げた子ども食堂もこれまでの課題(特にスタッフ不足や資金難)でやむなく閉鎖することもあります。

子ども食堂の課題解決は個人、団体、地域、行政などの連携や協力、ネットワークがいかに大切で大事なことかがわかります。

子ども食堂の存在は少しずつ広められてきていますが認知度はまだ高いとは言えないということですね。

毎回楽しみにしている子どもやあと一歩で参加できそうな子どもたちのためにも息の長い運営と取り組みをしてかなくてはいけないと思います。

そのためには子ども食堂と地域がどのような関わり方ができるかを明確にして一人ひとりが子ども食堂の活動を身近に感じていけるよう共有いくべきだと思います。

これから子ども食堂を立ち上げたい人、ボランティア活動を考えているひとの参考になれば幸いです。

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