埼玉県では「こども応援ネットワーク埼玉」を立ち上げ子どもの貧困対策や環境への取組をしています。
中でも鶴ヶ島市は地域の様々な支援に力を入れている市として有名です。市の取り組みとしては学習サロンを併設した子ども食堂「じゃがいも」の補助をしています。
じゃがいもの運営はNPO法人カレーロが行なっています。
今回はその「じゃがいも」で実際にインタビューをしてきました。
この日お邪魔したのは東市民センターです。
「じゃがいも」は平成28年に立ち上げた鶴ヶ島市が支援するNPO法人カローレが運営する子ども食堂です。
実施日は第1・3金曜日は西市民センター、第2・4金曜日は東市民センターで行われています。季節により運営時間が変わります。
中にお邪魔すると1階右奥の部屋に可愛らしい手作りののれんがかかっていました。
この時点ですでにこちらまで出汁の良い匂いが漂ってきます。
中では子ども食堂オープンに向けてボランティアの方々が準備をしています。
まもなくオープンを前にお忙しそうなボランティアさん。
なるべく邪魔にならないように、、
「こんばんは。お世話になります。先日取材の依頼をしたものですけど…」
ドキドキしながら中をのぞいてみると…
「こんばんはー!どうぞ~」とボランティアさんたちに暖かく迎えていただきました。
この日子どもたちの配膳をしながらインタビューに答えていただいたのは川上さん(左)と二瓶さん(右)。笑顔が本当に魅力的なお二人です。
川上さんは民生委員をされている方で東市民センターの他に、西市民センターにもお手伝いに行かれています。そしてなんと両施設の食事をお一人で作っているそうです。目の前の食事もざっと20人前はあります…タフでかっこいい!
二瓶さんは地域支え合い協議会のメンバーの方です。地域支え合い協議会とは自治会や地域団体・NPOなどで、連携・協力をしながら地域の課題を解決していく会です。地域住民の方も有志でとても多く参加されているそうです。
このサイトの趣旨などを説明していると、子どもたちもぞくぞくとやってきました。
川上さんと二瓶さんは「今日は学校どうだった?」 「嫌いなものあったっけ?」と子どもたちに声をかけながら配膳をしていました。
列を作る子どもたちも笑顔でコミュニケーションを取っていて、その姿から「じゃがいも」へのリピート率も高く信頼関係も築けていることがわかります。
こちらが本日のメニューです。
冷めても外はサクッ!中はふわっふわのナスの天ぷら
いい匂いの正体はこれ!素材に味がよく染みているおでん
インスタ映えしそうなフレッシュでジューシーなみかん
思わず「1個食べたいです!!」とお願いしそうになった中がホクホクの味玉子
それから汁とごはんを撮影し忘れてしまったので「ちょっと撮影させてください~!」と子どもたちにお願いをして撮らせてもらいました。
もう全てが「これぞおふくろの味!」と叫びたくなるようなメニューばかりでした。
子ども食堂「じゃがいも」では、こんなに美味しそうなメニューが毎週登場するそうです。
食事の料金ですが、子どもは無料です。
大人は一食300円かかります。
筆者 「子ども食堂にくる子たちは基本的に小学生と親だけですか?」
川上さん 「いいえ、中学生も来ますよ。学校を卒業した子たちも来たりします。」
学校を卒業しても顔出したくなる気持ちがわかります。こんなに居心地よくて美味しいごはんが食べられるのですから。
筆者 「食事のメニューを考えるのも川上さんだそうですが気をつけていることはありますか」
川上さん 「栄養バランスを考えるのは当然ですが、なるべく季節のものを取り入れることにしています。地元の野菜などがあるといいですね。」
筆者 「食材はどうやって調達するのですか」
川上さん 「食材はNPOの方が調達から配送までしてくれます。私たちはその食材でごはんを作っているんです」
食材の種類がいつも均一ではないため、種類が少なめなときにはカレーライスにしたり工夫をしているそうです。
お二人にインタビューをしながら子どもたちを見て気になっていたことがありました。
子ども食堂をオープンさせる時間帯は全国的に見ても夕方の運営が圧倒的に多いので遅くに1人で来ることは少し不安になりました。
この日も親子で来ていたのは2組で、残りの8名は子どもだけで食事をしに来ていたのです。
筆者 「子どもたちはここまで1人で来ていますよね。この時期は暗くなるのが早いので少し心配に感じます」
二瓶さん 「東市民センターに来る子どもたちは1人で来ることもありますが、近所の住民の方がここまで送ってきてくれることがけっこうあるんですよ」
筆者 「え!? 子どもたちの近所の人がですか」
二瓶さん 「はい。子どもがここに来るのを知っている人はそうしてくれます」
なんとも素晴らしい関係です。
まだまだ子ども食堂の存在は理解を得るのが難しい地区もある中で、鶴ヶ島市はしっかり地域の人たちが子ども食堂を受け入れている証拠なんだと思いました。
筆者 「子ども食堂の他に学習サロンも運営していると伺いました」
川上さん 「夏休みなどは夏休みの宿題をしにきたりする子どももたくさんいますよ。そういう場合にはおにぎりにします。それをカップに入れて食べてもらっています」
勉強の邪魔にならないようにきちんと配慮されている姿勢がさすがだなと思いました。
最後に…
筆者 「ボランティアをしていて苦労することはなんですか」
川上さん 「苦労していることなんてないよね」
二瓶さん 「私たちも楽しんでいるね」
筆者 「食事の準備や配膳なども二人では大変そうに見えました。」
川上さん 「全然そんな事ありません。子どもたちの笑顔を見るとこっちも嬉しくなります。私たちも元気をもらえるんですよ!」
子どもたちがご飯を食べている間もお二人は終始笑顔で見守ってくれていました。
お二人ともお忙しい中本当にありがとうございました。
今回訪れたじゃがいもでは長い年数を運営していることもあり、子どもたちが安心、安全に参加できる場所であると感じましたし、何よりもボランティアの方たちの安定感も信頼できる居場所を作っていると思いました。
子ども食堂は地域や行政との連携や協力が取れず課題となっている地区は少なくありません。
これから子ども食堂を立ち上げたいと思っている方は、ぜひじゃがいもの雰囲気を参考にしてほしいです。
きっとたくさんのヒントが見つかるはずですよ。
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